- G. A. Baker et al.: Phys. Rev. A 135 (1964) 1272.
- Y. Nakazawa et al.: Phys. Rev. B 46 (1992) 8906. の中の
- γ-p-NPNNの解析と文献も参照
J <J´< 0の場合(AAHC)の磁化率の数値fitting
比熱・磁化率の理論計算などは、
- W. Duffy, Jr. and K. P. Barr: Phys. Rev. 165 (1968) 647.
- J. C. Bonner et al.: Phys. Rev. B 27 (1983) 248.
- S=1/2, 3/2, ... (半奇数)のときgapless、
- S=0, 1, 2...(整数)のとき、縮退なしでgapの下」
なにゆえstrikingだったか?
「 古典的な理論からすると、Sが整数か否かで
系の基底状態の性質が定性的に異なるのが信じ難い」
S=半奇数のとき、スピン波理論がよい近似
- 励起状態は、基底状態のスピンを少しずつねじったもの
- 一次元の場合、反強磁性スピン相関が距離のベキ関数
S=整数のとき、スピン波理論は破綻
- 基底状態のスピンをねじった状態が基底状態と非直交
- あとでわかることだが、結合電子対の片方の電子の
スピンを少しねじった状態が意味をなさないのと同様
次のVBS(Valence bond solid)状態がよい近似
(S,mS
)は、VB両端がS=0になるように
量子的に揺らいでいる(ゼロ点振動)・・・下図
「mS=1と−1が交互に並んだ状態に
適当にmS=0を挟んだもの
(これを称して乱れているという)」
ちょっと考えればわかるが、mSの配列として、
1,1とか1,0,1とか-1,-1とか-1,0,0,-1は、
VBS配列を破壊している
(これもスピン液体というそうです)
スピン相関
- 距離の指数関数で非常に速く減少
---- 一般に、化学結合系の結合力はかなり局所的- mS=1と−1の間にmS=0をいくつ挟んでもよいことに対応
VBS基底状態からの励起
有限Haldane鎖の特徴(疑似四重縮重)
反強磁性スピン相関は短距離で減衰
--> 両端のVBSに参加しないスピンはほとんど無相関両端の2スピンについて、
S=1(三重縮重)とS=0とがほとんど縮重
- leg (梯子の長手方向) :J
- rung(梯子の踏むところ):J´
二次元Heisenberg強磁性体
二次元Heisenberg反強磁性体(S=1/2)(高温超伝導の母体)
- 鎖内/層内が強磁性で、鎖間/層間の弱い反強磁性的
- 外部磁場のZeemanエネルギーが
少なくとも有限系では
- t : transfer積分(Huckelの共鳴積分と同内容)
- U: on-site Coulomb反発
演算子の公式(c+, c:fermion演算子)
- c+|0>=±|1>
- c+|1>=0
- c |0>=0
- c |1>=±|0>
反交換関係:
- c+j c+k=−c+k c+j,
- c j c k =−c k c j
- c j c+k =δj k− c+k c j
n: 数演算子
nk= c+k ck
残りの の対角化
U が大きくなると、基底一重項が不安定化
一般に、電子相関が強くなると、
イオン化配置が不安定化(電荷自由度減少)
--> 基底一重項の安定化への寄与減少
--> 磁性(スピン自由度)が出やすくなる
以下、強相関(U >> t )とする
基底状態付近・・・2J=4t2/U のHeisenberg modelで記述
(スピン自由度のみ考慮)
一般に、U >> t のHubbard model (1/2-filled)は、
2J=4t2/U の Heisenberg model に帰着
ホールの占有数を制限:
- 第1項: 電荷自由度
- 第2項: スピン自由度
- δ:占有数制限(half-filledでδ=0)
さらに、
- 第2項: VBのエネルギー(見かけ上はVBの一体問題)
- (b+, b :singlet VBの生成・消滅演算子)
これも t-J model(スピン自由度はVBの形成・切断で表現)
“ベクトルポテンシャル”(磁気;運動量)と
“スカラーポテンシャル”(電気;座標)の任意性
- 粒子の遍歴 --> 位相を揃える
- 粒子の局在 --> 数を保つ
HamiltonianのTransfer項も局所gauge不変となるには、
t jk --> t jk exp[ i(θk−θi )]
ベクトルポテンシャルAがあれば、t jk はt jk exp[ iea A ki ]
局所gauge不変条件から、
つまり電子を、
- up-spinとdown spin、電荷0のfermion f
- spinなし、電荷+1 のboson (ホール)b
に分解
分解したまま( f と b が別々に励起できる)なら、
スピン-電荷分離(Luttinger liquidなど)
スピン-電荷分離と分子の問題については後述
・・・ Lieb定理、
あるいは Longuet-Higgins予想
Lieb-Mattis定理
bipartite とは
A,B2つの副格子に分割できて、
Aの最近接は全部B、
かつ、Bの最近接は全部A
=“交互炭化水素”・・・オルト-パラとか...(偶数員環)
定理の主張
無限系への外挿(要注意!簡単な話ではない!)
S=0基底状態がそのまま無限系の
非磁性状態になるとは限らないエネルギーギャップが有限にとどまるか?
- 有限 --> 非磁性基底状態
- ゼロ --> 対称性が破れるか?
- 破れない --> 常磁性(例えば Bonner-Fisher)
- 破れる --> 磁気秩序(Neel反強磁性,複数基底状態)
例えば、
偶数員環のような圧倒的安定一重項になるか、
両端のあるHaldane系のような
ほとんど常磁性に近い一重項になるか、
は、議論を先に進めないとわからない。
- VBS=VBの“固体”
- RVB=VBの“液体”=VBを置く位置がuniqueでない
2つ以上のVB配置が共鳴し合って基底状態
(要するに、VB法のベンゼンの取扱い)注意: “VBの液体”という言葉を真に受けると、
非磁性基底状態だと思ってしまうが、
無限系では非磁性基底状態とは限らない
反例:gap がゼロに向かう場合(Bonner-Fisher)
共鳴のメカニズム
1)スピンの量子性(交換量子トンネル)
1−2−3系で、1-2間 mS=1/2 VB状態
にS2・S3を作用させると、
- 第1項:2-3間VB
- 第2項:1-2間三重項
つまり、1-2間VBが壊されて、
2-3間VBができる (VBが動いた)*注意: 電荷自由度なしでもRVBはあり得る
2)電子の遍歴性(half-filledでない場合)
ホールとVBが互いに動く(分離もする)
- 高温超伝導で有名になったもの
- 結合交代なしのポリアセチレンやK-TCNQも
- 反強磁性相関に関係するspin (pseudo)gap?
--> VBの切断エネルギー〜J(とすればspin gap) --> 超伝導機構に関係がある?とかないとか...
J と t は、VBを動かすという点では似ているという話 だが、1)と2)ではかなり性質が違うそうである
〒274 船橋市三山2-2-1 東邦大学 理学部 物理学科 Phone : 0474-72-6988, F A X : 0474-75-1855 田村 雅史tamura@ph.sci.toho-u.ac.jp