研究プロジェクト一覧

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実験名 NEWSdm実験〜超微粒子原子核乾板を用いた方向感度を持つ暗黒物質探索実験
研究説明

暗黒物質(Dark Matter)は、現在の宇宙観測の結果から存在が示された未知の物質(重力源)であり、我々の天の川銀河にも大量に存在し、銀河形成の源となったと考えられています。暗黒物質は、これまでに知られていない未知の素粒子であると期待され、大量の暗黒物質(原子質量を仮定した場合、1cm2あたり毎秒100万個)が地球上に到来していることになります。  暗黒物質の正体を明らかにするために、世界に類を見ない独自技術である超高分解能化した原子核乾板(Nano Imaging Tracker: NIT)とそれに付随するさまざまな"ナノイメージング"技術を駆使した実験を進めており、暗黒物質の到来方向情報を取得することによる新たな暗黒物質の直接観測研究を進めています。本研究は、イタリア、ロシア、トルコからなる国際共同実験として進めらており、イタリア・グランサッソ研究所での観測、ならびに東邦大学・名古屋大学・ナポリ大学が連携した解析研究やデバイス開発が進められています。

     

実験名 EURECApd project ~ 鉱物を用いた億年スケールにわたる未知宇宙線探索と宇宙考古学研究
研究説明

 天然の鉱物の内部には、放射線の通った痕跡が結晶欠陥の形で数億年にわたって保持されています。つまり、鉱物は、数億年にわたって宇宙線の情報を記録し続けている検出器であり、人工的な検出器では到底探索が不可能な未知の宇宙線の探求が可能なデバイスとして注目されています。特に、例えば、素粒子宇宙物理学で理論的に予言されるQ-ballやモノポール、Nucleariteといった未知粒子は、宇宙の中では存在量が非常に少なく、地球に到来する頻度は非常に少ないため、人工的な実験では観測することは困難です。しかし、その存在が確かめられれば、自然科学における新たな物理法則の証拠となるため極めて重要な研究対象です。また、近年の、宇宙線源として注目される超新星爆発や連星中性子星合体は、この天の川銀河で発生する頻度は、超新星で100年に1度、連星中性子星合体にいたっては10万年に1度しかなく、こういった非常に興味深い天体現象から来る宇宙線(特に、超重元素宇宙線)に対する新たな情報は、隕石中の鉱物から得られると期待されます。これらの数億年スケールにわたる宇宙史の探求を進めるため、鉱物が持つ放射線検出能力を生かした研究を素粒子・宇宙・地球惑星科学などの研究者と共同で展開しています。

BELLE DETECTOR
実験名 Belle実験
実験説明

「なぜ宇宙は存在するのか」という人類太古からの疑問に、クォーク側から見たCP対称性の破れによる検証から答えようとする実験です。2008年度ノーベル物理学賞を受賞した小林・益川理論の検証を行い、両氏の受賞に貢献しました。現在は更なる新しい物理の発見に向けて、Super Belle実験が計画されており、本研究室も検出器のアップグレード計画に参加しています。

T60 EVENT
実験名 J-PARC T60実験
実験説明 長年培ってきた原子核乾板技術を使い、数100MeVから数GeVの低エネルギーニュートリノと原子核の相互作用を詳細に研究する実験です。 物質優勢宇宙の鍵を握る将来のレプトンセクターのCP破れの検証実験で重要な基礎データとなるだけでなく、ステライルニュートリノの存在検証といった挑戦的な研究へと繋がります。

基礎研究

Spectrometer IMAGE
実験名 スペクトロメータの開発
実験説明

クォークだけでなくレプトンもCP対称性が破れている可能性があります。その探索にはニュートリノ反応と反ニュートリノ反応の識別が必要です。そこで反粒子を含めた全てのニュートリノ6種類が識別可能な「永久磁石を用いたコンパクトエマルションスペクトロメータ」の開発を行っています。



外部研究機関との連携・協力

実験名 宇宙線防護プロジェクトICCHIBAN
実験説明

人類が宇宙で生活する際に問題となるのが宇宙線による被曝です。宇宙船中の宇宙線の被曝量を多方面から調査し、人体への影響を算出する計画です。

NIT SEM IMAGE

実験名 暗黒物質探索
実験説明

宇宙全体のエネルギーのうち95%が正体不明です。うち23%は宇宙膨張を引き留める暗黒物質、残り72%は膨張を加速する暗黒エネルギーです。我々はNITと呼ばれる写真フィルムを用いて、暗黒物質のシグナルを探索する実験を計画しています。


年度別研究概要


2009年度の研究概要はこちら。