有機強磁性体 b-p-NPNN
の強磁性共鳴と極低温高圧下の磁性
最近低温で反強磁性秩序をもつことがわかったメチルニトロニルニトロキシド単結晶の低温比熱を測定し、反強磁性状態への転移に伴う比熱のピークを観測して、転移温度を確定した。比熱の磁場・温度依存性を解析して、低次元スピン系としての性質を解明する予定である。ペンタフルオロフェニルニトロニルニトロキシド単結晶の低温比熱を測定し、約2Kと約5Kとに比熱の異常を見出した。以前からこの物質では約10
K以下でESRのgテンソル主軸の異常な回転が観測されており、これと比熱異常との関係を検討している。
2−フェニルベンズイミダゾール−1−イル−N,N’−ジオキシドという分子は、分子全体がほぼ平面状で、π共役系のみから成り立っている新しいタイプの有機ラジカル分子である。この分子は、結晶化できないと思われていたが、最近単結晶の作成に成功し、構造・磁性の研究を進めてきた。96年度には、多結晶体の低温比熱を測定し、以前の帯磁率測定で見つかっていた数
K以下での小さな異常残留磁気モーメントが、比熱においても対応するスピン数相当の残留エントロピーとして同じ温度領域に観測されることがわかった。