GUEST |
佐々木亙 |
STAFF |
梶田晃示 |
西尾 豊 |
物性物理教室 テレビ、ビデオ、コンピュ−タ−、私たちのまわりにはたくさんの電気製品があります。20世紀の物理学は単に人類の知識を増やしただけでなく、こうした機器の発達を基礎の部分で支えてきました。例として半導体を取り上げましょう。電気製品の中には複雑に配置されたたくさんの部品が入っていますが、その中に、電気信号を作ったりそれを大きくしたりする役割を担っているトランジスタ−、ダイオ−ド、ICなどと呼ばれる半導体素子があります。最近、非常に複雑な働きをする素子を作ることができるようになって、これが現在の高度技術社会の一つの基になっています。 しかしここに至るまでには、半導体の特性を明らかにし応用の可能性を指摘した物理学者の働きがあったことを忘れてはなりません。半導体の性質を理解するには、量子力学、統計力学、電磁気学等という学問が必要です。量子力学を用いて半導体の性質を解きあかした物理学者の研究を基に、技術者がそれを応用した色々な装置を作り上げてきたのです。私たちの生活が便利になったのは物理学の進歩のおかげであると言ってもいいでしょう。
こうしたことを研究する学問を物性物理学といいます。 物性物理学で扱われる問題は多彩です。最近、非常に高い温度で超伝導になる物質が発見されて話題になったことを記憶している人もおられると思います。高温超伝導がどうして起こるのかを理解することは現在の物性物理学の中心的な課題の一つです。それ以外にも、例えば、私たちの研究室のテ−マの一つに、有機物で超伝導になる物質の研究があります。普通は電気を流さない有機物がどうして超伝導になるのか不思議です。 私たちは,このような謎を解くために、物質を絶対零度(摂氏273度)に非常に近い温度まで冷やして様々な実験をしています。