東邦大学理学部物理学科
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2019年4月
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原子と外部電場との相互作用:
シュタルク(Stark)効果の研究
 
原子の物理的性質の一つとして、1913年にJ. Starkが水素原子で発見したシュタルク効果と呼ばれるものがある。シュタルク効果は原子に外部電場がかけられるとエネルギーが変化して、スペクトル線の位置がシフトするシュタルクシフトや、縮退が解けてスペクトル線が分裂するシュタルク分裂が起こる。原子・分子のシュタルク効果の研究は分光学的な情報を得ることができ、理論的な研究の発展にも大きく寄与し、重要な基礎研究のテーマのひとつである。

通常、原子は正の電荷分布と負の電荷分布が打ち消しあって、電気的に中性を保っているが、電場が加わると、正の電荷と負の電荷は逆向きの力を受けるため、電荷の位置が変化、すなわち分極する。このとき、原子には電場に比例した双極子モーメントが生じる。このときの比例係数を分極率といい、原子についての単純な摂動の効果を定量化する。この分極率は原子の種類によって決まる。

アルカリ原子は、電子配置が安定な希ガス型電子配置の外側の最外殻にs電子が加わったもので、このs電子は放出されやすい。また、そのような構造から理論的にも理解しやすいために、一般にシュタルク効果の対象試料としてしばしば扱われている。

近年、パリティ非保存に関するCsの6s→7s禁止遷移の測定や原子の永久電気双極子モーメント(EDM)の探索が行われている。これらの研究では、シュタルク効果を用いた実験が行われているため、分極率などの原子の基礎データが高い精度で導かれることが必要とされている。

また、アルカリ原子は相対論的効果と内殻電子(コア)の寄与についての研究に適している。原子番号が増えるにつれて、相対論的効果と内殻電子の寄与は重要なものになってくる。これらの相対論的効果や内殻電子の寄与の研究は、シュタルク効果の高精度の分極率データが必要である。

原子のシュタルク効果は超微細構造やゼーマン効果より、これまでに研究が少なかった。強電場の生成は実験的に困難である。そのため、多くの原子に対し、シュタルク効果はまだわかっていない。

本研究は、波長可変半導体レーザーを用いた高分解能レーザー分光法により、安定した電場の生成できる電極装置を開発し、アルカリ原子のシュタルク効果を系統的に研究している。






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