東邦大学理学部物理学科
量子エレクトロニクス研究室

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2019年4月
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高分解能原子線半導体レーザー分光:
同位体シフトと超微細構造の測定
 
超微細構造、同位体シフトは電子と原子核との基本的な相互作用で、電子の振舞、原子・核構造の解明にはそれらの研究が不可欠である。その研究から、電子配置、波動関数、電子密度、原子核のスピン、核の電荷分布、電磁気モーメント等の情報が得られる。

レーザーを用いた高分解能分光法は超微細構造、同位体シフトの測定には非常に有効な方法である。また、レーザー冷却法やレーザーマイクロ波二重共鳴分光法とを組み合わせれば自然幅までの超高分解能、Hzまでの超高精度の精密分光が可能である。

これまで我々は、可視・近赤外の高分解能レーザー分光を行ってきた。紫外領域に関しては広い範囲且つ可変の高分解能な紫外光の生成が困難であり、高分解能レーザー分光はまだあまり報告されていない。紫外領域に対応する高励起状態の分光データが少ない。

希土類元素は原子番号57〜72の元素で、電子配置、原子構造が配置混合などにより非常に複雑になっていて、また、中性子数NのMagic Numberである82と126の間に位置している。Nが82〜91の領域は核のShape transition領域となっており、同位体間の核の変形や核電荷半径の差が他の領域と比べ大きくなっているという特徴がある。

また、希土類元素は多電子系の原子で、電子間の相互作用は重要である。電子間の相互作用によって生じる特殊質量シフト(Specific Mass Shift)の理論計算が困難であり、実験データが少ない。紫外領域は多種類の遷移があり、特殊質量シフトの測定に適している。特殊質量シフトの研究は電子間相互作用の理解や原子構造の解明に不可欠である。これらのことから、この領域に位置する希土類原子の研究は核物理のみならず原子物理にも興味深いと言える。

さらに本研究室は、上記のような希土類元素を中心に実験を行ってきたが、軽い元素にも注目して研究領域を拡張し始めている。現在、試料として用いたAl, Fe, Ti原子はDouble magic number の領域に位置する。50TiはMagic number N=28の核種で、この付近の核種の核電荷分布等の系統的な研究は核物理として非常に興味深い。

本研究は、希土類元素やDouble magic number の領域に位置する原子に対し紫外領域における高分解能分光の測定を行っている。CWレーザー用高調波発生器と外部共振器型波長可変半導体レーザーとを組み合わせ、395nm前後の紫外光を生成した。さらに今までの高分解能実験技術を活かすことにより、紫外の高分解能レーザー分光に成功し超微細構造や同位体シフトの研究を系統的に行っている。




Typical Measured Spectrum at 394.3 nm in Gd



Quantum Electronics Laboratory, Department of Physics, Faculty of Science, Toho University
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