ダークマターも含めた重力源の分布を知るもっともクリーンな方法は、重力レンズを用いることです。
稲田直久さんと大栗真宗さんをPIとする、SDSSのクェーサーカタログから重力レンズクェーサーを探し出すプロジェクト "SQLS" に、2006年頃から参入しています。SDSSの最終カタログDR7相当の探査計画を完了し、世界最大の重力レンズクェーサーカタログを公開しました(Inada et al. 2012)。このカタログを用いて、(例えばダークエネルギーが原因で)宇宙の膨張が加速していることを示しました。
下の図は、私たちの重力レンズクェーサー候補から、すばる望遠鏡、ハワイ大学UH88を用いて一挙に8個見つけた図です。2枚の画像が組になった8つのパネルは、各々左側はレンズ2重像(AとB)とレンズ銀河の混ざったもの、右側はレンズ2重像を差し引いてレンズ銀河(G1)だけにしたものです(Kayo et al. 2010)。
こうして探し出した重力レンズクェーサーを用いてダークエネルギーの量を決めた論文(Oguri et al. 2012)は、The Astronomical Journal誌の2013 AJ Hightlights Collectionの一つとして選ばれ「宇宙の干し草山から針を見つけるような研究」と讃えられました。