野辺山観測所は、盆地に位置しています。盆地に位置していると、何が良いかというと、都会からの電波を遮断することができます。さらに、標高の高い野辺山は、天文台が観測対象としているミリ波(30GHz〜300GHz)の電波を吸収してしまう水蒸気が少ないため、観測に適しています。
 野辺山観測所で最初に見学したのがミリ波干渉計です。ミリ波干渉計は、干渉計間の間隔を広げることで、高い分解能を得るものです。野辺山では、最大600m離れた素子アンテナをケーブルでつなぎ、直系約600mの巨大パラボラアンテナに匹敵する分解能を得ることが出来ます。分解能とは、簡単にいうと、人間の視力のようなものです。小さい領域をどれだけはっきり捉えられるかの能力です。一般に、分解能はアンテナの直径に比例し、アンテナが大きいほど小さい領域を観測することができるように(分解能が高く)なります。

アンテナの移動は、レール上を滑らせて行なわれます。

 見学の際に、観測所で仕事をされている研究者の方に、パネルを用いて、観測対象や装置の性質等を説明していただきました。このときは、45m望遠鏡による観測が行なわれていなかったので、制御室の見学も許されました。

 先ほど、電波干渉計についての説明をした時に、600mのパラボラアンテナに匹敵する分解能を得られるといいましたが、それでは、なぜ45mの電波望遠鏡を用いるのでしょう?実は、アンテナの直径が大きいと電波を多く集められ、暗い天体の観測に用いることが出来ます。それに対して、干渉計の場合は1つ1つのアンテナの口径は10mと小さいので暗い天体の測定には不向きです。一長一短なのです。

 制御室の次に、45m電波望遠鏡の内部の見学も行なわれました。

 東邦大学理学部物理学科では、毎年、国立天文台 野辺山宇宙電波観測所のご好意で、観測所内部の見学会を開催しています。主催は、宇宙・素粒子教室ですが、他教室の方の参加も見受けられます。また、2年に一度、 ハワイ・すばる望遠鏡研修旅行も開かれています。

 今年は、5月12日に長野県南牧村にある野辺山観測所を訪れ、施設見学をさせていただきました。東邦大学から野辺山へは、バスで片道約4時間半程かかります。主な目的は、世界最大のミリ波望遠鏡である45m電波望遠鏡の見学でしたが、それ以外の施設も見せて頂けました。当日は快晴で、運良く45m電波望遠鏡のお皿が横を向いていました。以下、簡単に見学会の様子を紹介いたします。

 右下のたこ焼き器のようなものは、25素子受信機で、これによって45m望遠鏡で一度に観測できる広さを25倍に増やすことができます。見学を終えてから、案内をして下さった研究者の方に感謝の言葉を述べて、記念撮影を行い、観測所を後にしました。

 お忙しい中、親切に説明をして下さった、久野さん、澤田さん、本当にありがとうございました。またお世話になる際には、どうぞよろしくお願い致します。(文責:物理学科4年 小野謙仁)

2003年の様子はこちら
2004年 野辺山宇宙電波観測所見学会