「佐々木亙先生を偲ぶ会」のお知らせ



既にご承知のことと存じますが佐々木亙先生(元電気試験所低温研究室長,元東京大学理学部教授,元東邦大学理学部教授・理学部長・理事)におかれましては,ご療養中のところ平成20年12月11日に逝去されました.享年85歳でした.ご遺族のご意思によりまして,ご親族にて葬儀等が執り行われました。  このたび,佐々木亙先生とご縁のあった方々にご参集いただいて先生を偲ぶ会を下記の日程で開催することといたしました.ご来臨賜りますようご案内申し上げます.なお、ご参集いただけます方は、下記の問い合わせ先にご出席のメールをいただけると幸いに存じます。

日時: 平成21年3月8日(日) 12:00〜14:00 (11:30受付開始)
場所: 学士会館 千代田区神田錦町3-28
電話 03-3292-5936
会費: 1万円(当日申し受けます)
   ご香典,ご供花等は固くご辞退させていただきます.
   ご来臨の節は,平服でお越しくださるようお願いいたします.
発起人:小林 俊一,小川 信二,小野 嘉之,梶田 晃示,高橋 利宏,家 泰弘
問合わせ先:東京大学物性研究所、家泰弘。
iye(at)issp.u-tokyo.ac.jp       (at)を@に直してください。


佐々木亙先生の略歴とご業績

佐々木亙先生は大正12年1月24日東京都でお生まれになりました.東京帝国大学第二工学部航空機体学科をご卒業後,昭和22年10月に逓信省電気試験所(後の電子技術総合研究所,現在の産業技術総合研究所)に材料部研究員として研究者の道を歩み始められました.昭和35年7月には東京大学から理学博士の学位を受けられました.約20年間の電気試験所勤務を経て,昭和43年7月に東京大学理学部教授に着任され,物理教室に研究室を構えられました.昭和58年3月に東大を定年退官され,東京大学名誉教授の称号を受けられました.昭和58年4月からは東邦大学理学部教授として教育研究を行なうとともに,昭和60年9月からは学校法人東邦大学理事として大学経営にも携われました.平成3年3月に東邦大学を退職されました.
 先生の専門分野は半導体物理学と低温物理学でした.若き日に電気試験所で行ったゲルマニウムのホットエレクトロン効果の研究では,特徴的な異方的輸送現象を見出し,それをバンド構造から鮮やかに解明されました.わが国の半導体研究黎明期における特筆すべきこの業績に対して昭和37年に仁科記念賞が贈られています.
 その後先生は,半導体における不純物伝導に取り組まれ,それがライフワークとなりました.磁場印加によって電気抵抗が減少する不思議な現象を丹念な実験によって確立されました.この「負の磁気抵抗効果」は,後年アンダーソン局在のスケーリング理論を契機として電子の量子干渉というその物理的起源が解明され,乱れた系における電子系の物理の本質を捉えた真に先駆的なご研究でした.先生は高濃度ドープした半導体における金属非金属転移の問題に関して,伝導測定はもとより,磁気測定,熱測定,磁気共鳴などあらゆる実験手段を駆使した総合的研究を展開されるとともに多くの弟子を育てられ,わが国の半導体・低温分野の実験研究のレベル向上に多大の貢献をなされました.また,東邦大学に移られてからは有機伝導体の研究を推進されました.
 先生はまた学術行政の面でも多くの要職に就かれ,その手腕を発揮されました.電気試験所物理部電子物理課長,低温研究室長,東京大学低温センター長,東京大学理学部物理学教室主任,東邦大学理学部長・理学研究科長,東邦大学理事など所属組織の要職のほかにも,日本物理学会欧文誌編集委員長,日本学術会議物理学研究連絡委員会委員,学術審議会専門委員,国家公務員採用上級甲種試験専門委員,物性研究所協議会委員など枚挙にいとまがありません.さらには,第12回国際低温物理学会議出版委員長,第15回半導体物理学国際会議会計委員長,第18回国際低温物理学会議組織委員など,主要国際会議の組織運営に携わり,これらの会議の成功に大きく貢献されました.
 以上のように佐々木亙先生は電気試験所での21年間,東京大学での15年間,東邦大学での8年間を通じて,半導体,金属,有機導体,ヘリウム液面電子系に至る多様な系の低温電子物性の研究を展開され,多くの顕著な業績を挙げるとともに数多くの後進を育てることによって,我が国の半導体および低温物理学の発展に尽くされました.これらの功績にたいして1999年11月に勲三等瑞宝章が授与されています.

偲ぶ会についてのお問い合わせは、東京大学物性研究所、家泰弘。
iye(at)issp.u-tokyo.ac.jp
(at)を@に直してください。